たばこの煙の中には4000種類以上もの既知の化学物質が含まれています。そのうち200種類は発がん関連物質で、さらにその中の40種は明らかに発がん性を持っています。なぜたばこがそれほど多くの人々の命を奪っているのか、信じられない気がするかもしれません。実はたばこは、よくこれだけ毒物が集まったものだと感心するくらいたくさんの毒物の集合体で、まさに毒物の缶詰ともいうべきものなのです。たばこに含まれる有害物質ニコチンを知らない人はいないと思いますが、ニコチンが青酸カリよりも強烈な毒物であることを知っている人は少ないようです。
青酸カリを手に入れることは容易ではありません。ところがもっと恐ろしい毒物が、ごく身近なところにあるのです。たばこのニコチンです。
人間の致死量は、体重!kgあたり1mgです。ふつうの大人の体重は50〜60kg、両切りのショート・ピース1本には、およそ15〜20mgのニコチンが含まれていますから3本分のたばこがあれば十分死ねるということになります。実際にやった人がいるのです。東京のNさんというおばあさんは、ハイライトを愛用していましたが、生きる望みを失って、ハイライト2箱分をコップの水にとかし、それを一気にあおりました。全身が痙攣を起こし、呼吸中枢がまひして、このおばあさんは亡くなりました。
。無造作に乳幼児のそばにおいてあるたばこや吸いがらを、子どもが食べてしまうのです。年間3万件を超える4歳までの乳幼児の中毒事故で、なんとその最高が5000件以上あるたばこによる中毒事故だそうですこれは米国に比べ、30倍も高いたばこによる中毒事故の比率で、日本人のたばこの毒性に対する認識の低さと、扱いに対する無神経さがうかがえます。
たばこ1本に含まれるニコチンは最もたばこによる事故が多い生後8か月の子どもの場合、2人を死亡させるのに十分な量です。子どもはたばこを飲み込んでも吐き出すことが多いので、その毒性の割には重大事になるケースは多くありません。それでも死亡例がいくつか報告されています。
自分のたばこで、子どもを死に至らせてしまった親の悲しみ、嘆きはどんなものでしょうか。
たばこの煙の中にある微粒子の有害物質は、ある程度フィルターが吸収してくれます。また、それだけたばこの害を気にしている人が増えているのでしょう。低タール、低ニコチンの、マイルドなたばこが好まれるようになりました。ところが、たばこの煙に含まれる一酸化炭素、青酸、窒素酸化物などの毒ガスは、フィルターを素通りして体内に入っていきます。おまけに、マイルドなたばこは、吸いごたえので、どうしても本数が増えがちになります・結局体内に入るタールやニコチンはあまり減らず、その分だけ、一酸化炭素の害が増すことになります。
まず事実を知ることこうして多くの発がん物質、猛毒のニコチン・一酸化炭素が・頭から足の先まで作用して、からだ中に病気を引き起こすわけですから、「たばこは万病のもと」と呼ばれるようになるのは当然です。
たばこというと、すぐ肺がんを思い浮かべる人が多いようですが、肺がんはたばこによって生ずる病気(たばこ病)のほんの一つにすぎません。多くの人が、いまだにたばこを平気で吸っているのは、「たばこはからだによくない」といった程度の漠然とした知識しか持たず、その害の大きさ、危険性を十分に理解していないからです。「わかっちゃいるけどやめられない」のではなく、ほんとうはわかっていないのです。
それでは、いったいたばこのどのような有害物が・どのようなしくみで、からだのどんなところに病気を起こすのか、実際のたばこ患者の例(『愛煙家にささげる本』青春出版社より)を交えながら具体的に学んでみることにしましょう。あああたばこをやめて20分以内に、心臓の拍動数も、血圧も、手足の先の温度も正常に戻ります。
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