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昭和57年から、ついにがんが死亡原因の第1位になりました。がんが死亡原因の第1位の国というのはめずらしいのです。これは、日本の成人男子の喫煙率が先進国中飛び抜けて高いということとおおいに関係があります。たばこというのは、コンバクトな発がん物質の集合体です・
使用されていた防腐用の食品添加物などの発がん性が、動物実験で確かめられると、即時使用禁止になります。その他のよく問題になる食品の発がん性物質にしても、せい章い1,2種類が個々の食品に含まれる程度です。ところが、現在、動物実験などで実証されている約2000種類の発がん関連物質のうち、なんと約王割近くが1本のたばこの中に含まれているのです。
その代表的なものが、ベンツピレン、ニトロサミン類、ニッケル化合物、カドミウム化合物などです。この他にも、たばこの煙の中には、それ自体に発がん性はなくても、がんの発生や成長を助長し、促進するものが数多く含まれています。また、フィルターでは防ぐことのできないガスの中にもヒドラジン、ウレタン、ホルムアルデヒド、シアン化水素などの発がん関連物質が多く含まれています。
たばこのみは、こうした発がん関連物質を多く含んだ煙を何10回と肺や気管に吹きつけていることになります。発がん関連物質の大部分は、たばこの煙の中で、直径約O.2〜0.5ミクロンの微粒子となって漂っていますが、その密度は、煙1立方センチ内に100万個以上あるといいます。
その微粒子がベタベタとくっつきあったものから水分とニコチンをとったものががたばこのヤニ、すなわちタールです。
そのヤニをうすめて・動物の皮膚に繰り返し塗りつけていき4ますと、1年から2年のあいだに、一家ほ1んど確割1皮膚がんを生じ衝させることができます。一日一箱ずつタバコを吸いますと、1年内に吸い込むタールの総量は、110〜150グラム、コップ1杯分になります。たばこのみは、毎年毎年、ドロッと黒ずんだコップ1杯分のタールを白分の気管から肺に流し込んで生体実験をやっているわけです。たばこの煙を深く吸い込むと、そのタールの約95%が気管や肺に吸着されるといわれています。
ガンの原因は食べ物によるもの、職業がん、ウイルスとか放射線によるものなどいろいろありますが、ガンの約30%から50%はたばこで起きてくるとみなされています。アメリカ、イギリスをはじめ、北欧の各国が、がん対策の第1歩は喫煙対策であるとして、喫煙人口を減らすことに取り組んでいるのは当然です。ガンの原因究明や治療も大切ですが・いちばんよいのはガンにならないように予防する.ことだからです・
ところが先進国中ただひとつ、国が出資をし、しかもばく大な宣伝費をかけて国民に喫煙を奨励している国があるのです。日本人の死亡原因の第1位がガンになるのも無理ありません。調査からも、たばこを吸う人は、吸わない人に比べて、喉頭がん、口腔がん、すい臓がん、胃がんなどの死亡率がみな1.5倍から20倍も高くなっていことがわかりました。
たばこのみのからだには、まずたばこの煙が直接あたる口腔、喉頭部から、ガンが発生してきます。
●喉頭がん
肺がんに比べると、死亡者数が少ないためでしょうか、それほど恐れられていませんが、喉頭がんもみじめな余んです。たばこを吸わない人は、まず喉頭がんになることはありません。1日30本以上たばこを吸っている人の喉頭がんは、吸わない人の実に43.6倍にもなっています。
喉頭は煙の通路の部分でも狭くなっていますので、それだけたばこの煙の刺激を受けることになります。喉頭がんで喉頭切除手術を受けた人は、声を失うことになります。呑みこんだ空気を食道に逆流させて声を出す訓練を、訓練センターで何か月も受けねばなりませんようやく出るようになった声は、生まれつきの声とはまったく違った、低い、つぶれたような声です。また、喉のところに穴があいていますので、水を飲むときやお風呂に入るときは気をつけなければなりません。
また、どんなに暑くても、一生泳ぐことはできません。喉のところにあいている穴から水が入ってきて、おぼれ死んでしまうからです。
戦中、そして戦後もしばらくは、たばこを手に入れるのは容易ではありませんでしたが、昭和22年(1947年)当時の肺がん死亡者数は年786人にすぎませんでした。ところがたばこの消費量の増加と並行して、肺がんの死亡者数も急増を続け〉、平成10年(1998年)には5万867人と交通事故死の5倍の人が肺がんで命を落とすようになりました。今後も増え続けることが予想されます。
たばこ以外にも石綿(アスベスト)や金属材料を使う職業の人に肺がんのリスクが高くなることが知られていますが、なんといってもやはりたばこで、肺がんの7割はたばこによるといわれています。肺がんによる死亡者は年々増え続けて、1998年には、減ってきた胃がんを追い抜いて、ついに第1位になりました。
また、たばこを吸っている本数に比例して、肺がんの死亡率が高くなることも非常にはっきりしています。肺がんはガンの中でも非常にたちの悪いガンといわれています。喫煙者に多い肺門部分のガンは心臓の陰に隠れて、レントゲンにも写りにくく早期発見が難しいのです。また栄養と酸素が豊かに供給されることもあって発育も転移も早く、気づいたときには、手遅れのケースが少なくありません。手術をして助かる率は15%程度といわれています。100人手術を受けても85人は助からないということになります。
胸に水がたまり、最後まで苦しんで死んでいく場合が多いのです。余んを恐れながら、たばこを吸うというのはどういうことなのでしょうか。たばこをやめさえすれば、肺がんをはじめその他のガンも大幅に減ることはまちがいありません。
たばこの煙の通路でもない、食道や胃、膀胱にまでたばこでがんができるのは意外な感じがしますが、ひとつには口の中で唾液にとけたタールが、食道や胃の中に入っていくことが考えられます。また線毛運動によって気管支、気管、喉頭へと押し戻さてきたタールが、やはり唾液とともにのみこまれ、食道や胃の粘膜に作用すると考えられます。
膀胱がんの場合は、腎臓から尿へ排泄された発がん物質が尿に溶け、長い時間、尿が膀胱にたまっている間に、膀胱の壁に作用してガンを起こすと思われます。そういうわけで、たばこのみは、吸わない人に比べ、6割以上も膀胱がんで死ぬ率が高くなるのです。たばこはからだ中にガンを起こすといってもよいでしょう。しばらく前に、「今日も元気だ、たばこがうまい」などというコマーシャルがありましたが、いい気になって吸っていると、「明日はへたばってがんセンター」ということになってしまいます。
酒が好きな方にもタバコ好きが多ようでです。タバコだけでも十分問題があるのに、呑みながらタバコを吸いますと、口腔・食堂ガンなどへの危険性が増することがわかっています。同じヘビー・スモーカーでも、毎日酒を飲む人と、飲まない人とでは、ガンによる死亡率に明らかな差が生じてきます。飲酒も喫煙もしていない人の食道がんの死亡危険度を1.OOとしますと、毎日の飲酒者でもたばこを吸わなければ1.18倍、非飲酒者で20本以上たばこを吸う人は1.15倍、毎日飲酒者で、しかも喫煙者の場合は、なんと2.47倍にもなります。
飲酒と喫煙という2つの要因が同時に作用して、複合汚染的な悪影響が生じていると思われます。食道の場合には、アルコールが発がん物質の吸収を促進することが動物実験で明らかにされています。それに酒を飲むと脳の働き、判断力がアルコールでまひして、つい本数が増えてしまいがちになります。大人になってからも、ニコチンやアルコールなどの薬物にたよらない、健康に役立つ楽しみや気分転換の方法を身につけることができればいちばんですが、特に成長期の中学・高校生の飲酒、喫煙が法律で禁じられているのは、他ならぬ自分たち自身のためであることをおぼえたいものです。
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